跡部「なあ樺地」
樺地「ウス」
跡部「お前、『跡部』と『樺地』ならどっちが好きだ?」
樺地「……?」
跡部「いいか、良く考えろ。大事な問題だぞこれは。つまり夫婦同姓か別姓になるってことだ」
樺地「夫、婦……?」
跡部「まあ俺としては同姓希望だがな。だけどお前の家も男一人だし、こればっかりはお前を育てた大切なお母様とお父様を無視できねぇからな」
樺地「ウス、俺長男…ですから」
跡部「だがこういう事は当人たちの問題だろ。勢い余って駆け落ちする奴らもいるが、俺はそんなくだらねぇことはしねぇ。周りが従わないなら従わせるまでだしな?
ま、まままままぁお前が2人っきりでどこかに行きたいって言うなら賛成だぜ?愛の逃避行って響きも中々良いじゃねぇの!!!!」
樺地「ウス」
跡部「逃避行先はどこにする?花の都パリか?それとも散々遊んだロンドンにするか?思い切ってアメリカでもいいな…だが俺様の趣味じゃねえ。一度行ってみたいと思ってたプラハはどうだ?」
樺地「ウス…ロンドン…懐かしい、です」
跡部「!そうかロンドンな…何だかんだで乗り気じゃねえか樺地……!(←感動している)」
樺地「ウ?」
跡部「早速手配するぜ!準備がいるから来週の頭辺りがいいな。…おっと、周りに知らせねぇほうが良いんだっけな?駆け落ち、ってのは2人っきり…だろ?」
樺地「ウス、普通は2人っきり…」
跡部「だよなやっぱり!というわけでお前ら!!!俺様と樺地は来週駆け落ちするが広めんじゃねえぞ!駆け落ちは本来2人っきりだ…まあどうしても広めたいってなら全校中ぐらいで留めておけよ?
樺地はこう見えてデリケートだからな!」
宍戸「おいだれか早く止めろよ!何見てんだよお前等!!!」
忍足「もう気が済むまでやらせたらええやん。樺地も別に旅先で跡部に何もせえへんて」
滝「忍足、多分この場合心配するのは跡部じゃなくて樺地の身じゃない?」
鳳「でも大丈夫ですよ!樺地なら、跡部さんちのボディーガードなんて軽く倒しちゃいますよ!」
宍戸「心配って、そういう事じゃねえよ!」
ジロー「あれ…日吉帰んのー?」
日吉「ええ。これ以上巻き込まれたくないですし。お願いですから先輩方、部室で阿呆な会話繰り広げるの止めてもらえませんか、早く着替えて帰って下さい」
向日「なんだよくそくそムカつくー!それも今阿呆なこと言ってんの跡部だけじゃねえか!」
宍戸「だからお前も止めろよ!」
跡部「なんだ?障害と成る気か宍戸…面白れえ。恋は障害が有るほど燃えるとか何とか言っていたが確かにそうかもな。さすが天才の異名を持つ奴は違うぜ」
向日「ゆーし!!!」
宍戸「忍足ぃぃ!!!」
忍足「な、俺何も関係ないやろ!」
滝「なるほど恋は盲目……あの跡部も今は樺地の事しか頭にないみたいだね。ねえ樺地?」
樺地「ウス。……でも自分、も」
滝「…あー成る程ね。でも多分、それ聞いても跡部のぬか喜びに終わるんだろうねぇ」
ジロー「…?なんで?」
滝「さっきの会話もそうだけど…跡部の本気と樺地の本気の比重がまるで違うからね」
日吉「…さながら今の跡部部長は『茂みに咲ける姫百合』って所ですか」
滝「へえなるほど、『知ら得ぬ恋は苦しきもの』ってね。上手いじゃん日吉、やるねー」
日吉「……失礼します」
跡部「宍戸ぉ…どうやって俺様と樺地の仲を引き裂くのか…楽しみにしているぜ」
宍戸「引き裂く予定なんかねえよ!」
鳳「ひどい宍戸さん!どっちが好きなんですか!?跡部さん?それとも樺地!?」
宍戸「黙れーー!!!!」
滝「…ま、しばらくは浮かれさせたままでもいいかもね、楽しそうだし。ねえ樺地。」
樺地「?ウス」
あとがき。
楽しかったです!
きっと私だけ。
日吉と滝さんは和風な匂い漂ってると良いなーとか思ったり。
ちなみに日吉がごちゃごちゃ言ってたのは、万葉集に入ってる、片思いしてる女の人の歌です。
跡部と樺地って肝心なところ噛み合わなさそうなんですよね、だから跡部が泣いちゃう羽目になったりとか、むしろ泣いてしまえ!とか思ってることは秘密ですが。
2009年1月28日