ヒヤリ とした。
「骨を―――飲むらしいぜ」
まるで明日晴れるらしいぜとでも言うかのように、跡部は事も無げに言う。
月明かりに照らされた鮮やかな白が、幻想的に仄かな光を放つかのようで、樺地は目眩がした。
「昔、身分違いの恋に落ちた男女が」
「同じ墓に入れなくても、せめて死後共に居れるように」
「心中さえ許されなかった場合の、最後の手段にと――――」
そしてその仄かな光を放つ細い指先が、
ヒヤリと冷たい感覚を伴って、
首に掛けられるのを、樺地は見た。
「――――なぁ樺地?」
首にかかる吐息すら、
ヒヤリと。
甘い誘惑を発する。
「お前の骨は―――どんな味なんだろうな」
ソ レ
は
純粋な幼子が蝶を追いかける時のような目をして
愉しそうに
そう 言 っ た
――――樺地は知っていた。
ここにいるのは跡部ではない、と
――――けれど樺地は分からなかった
ここにいるのが紛れもなく『跡部景吾』本人である、と
そして樺地は分からないまま
分からない者との約束を交わした。
「俺の、全ては」
「『跡部さん』のモノです」
その言葉を聞いて
ソレは
ワラッタ。
(ナラ、クイツクシテヤロウ)
(ホネトイワズ、ソノニクサエモ)
|後記|
夏ですね。
夏=怪談
という訳で怪談でしt←黙れ
ちなみに跡部の話は、全部フィクションです。